【日記(12/17)】灯火
でね、今日はアレをもらったんだ。
寒さが和らいだ街の中で失っていたはずの眼差しの光を灯らせ、その青年は口にした。
あぁ、あれ。。。
この青年はまだ知らないのだ。
その細長い指で掴む事ができるのは、水中に漂う藻を掴むよりも落ち着かず儚いものであるという事を。
どのみち知るのだ。
ここで知らせてやっても良いのだが、
心踊るその気持ちもまた貴重であるから、その今にもしそうになっていたお節介をそっと止した。
もう数えたかい?
目に宿る灯火。
その背後には、冬の声が囁こうとしていた。