【夢(12/16)】gtn

...tン…gtn

…gtン…ゴトン

…ガタンゴトン...

 

ふと目を開けスマホに目をやる。

ー16:21。

 

…ガタンゴトン...

…gtン…ゴトン

...tン…gtn

 

遠ざかる音。

やがて入れ替わるようにガヤガヤとした、街の喧騒がやってきた。

 

「所長、分析結果出ました。」

はっと目を覚ます。いや、違う。寝ていたのではない。私は熟考していたのだ。古くから使い古された、若干カビ臭いこの書斎で、(書斎?)

山のように積み上げられた資料に目を通し、うんうんと目を閉じて思考をしていただけなのだ。寝てなど、いない。

 

「所長、先程調査したデータに相関はありませんでした。が、しかし…。所長?」

 

(-ω- )💤..。o

 

..tン…gtn

…gtン…ゴトン

…ガタンゴトン...

 

再び目を開ける。

ー16:23。

 

「まだ寝れる…」

 

…ガタンゴトン...

…gtン…ゴトン

...tン…gtn

 

ー当たらない。

先程から何球投げただろうか。ちっとも的の中心どころか囲いにすら入らない。

 

縫い目にかけた指がヒリヒリと痛む。

フォーシームとは名ばかりのチェンジアップのような軌道を描くボールは、制球定まらずどいつもこいつもそっぽを向く。

 

ーガチャン。

最後の球を投げ終えて止まる機械。

ポケットに入れた小銭をつかみ、機械へ再び投入する。

 

陽気なメロディーと掛け声とともに再びボールがこちらに投げられてくる。

おもむろにそれをキャッチして、いそいそとフォームを作り的に目線を合わせる。

今度こそ…

 

ー「所長?」

 

あぁ、そうだった。今は

 

「何?相関がない?」

 

寝ていたのではない。考えていたのだ。

 

…gtン…ゴトン

 

「はい。何度か疑ってやり直してはみましたが間違ってはいないようです。

 

…gtn…gtn

 

別の要素をパラメータに加えられないか検討を

 

…ガタンゴトン…

 

…所長?」

 

ー16:30。

「…もう着いてしまったのか。」

 

扉の開く音。

差し込む光。

 

眠い目を擦りながら、外へ歩を進める。

 

「滲みる…。」

 

さっとポケットの中へ隠した指を揉んだ。